猫の尿に結晶が出たと言われたら。何を意味し、どうするのか

動物病院の診察台で獣医療スタッフに支えられている長毛の猫

読了 約6分

健康診断や、粗相が続いて受診したときに「尿に結晶が出ています」と言われることがあります。

聞き慣れない言葉なので不安になりますが、結晶があること自体は、必ずしも病気を意味しません。 何もせず様子を見る、という判断になることもあります。

この記事は、Whisker(Automated Pet Care Products, Inc.)が公開している獣医師執筆の記事をもとに、日本の飼い主向けに再構成したものです。診断も治療も、実際に猫を診た獣医師が決めることです。 ここで読んだことを自己判断の材料にしないでください。

結晶とは何か

尿の中には、ミネラルなどの成分が溶けた状態で含まれています。その濃度が高くなると、溶けきれなくなった成分どうしが集まって粒になります。 これが結晶です。

顕微鏡でなければ見えない大きさなので、目で見て分かるものではありません。

なぜできるのか

結晶ができやすくなる背景として、獣医師はいくつかの要因を挙げています。

以下は、挙げた要因があれば必ず結晶ができる、という意味ではありません。結晶ができる仕組みには未解明な点が多く、種類によっては、分かっていることのほうが少ないとされています。
  • 水分が足りていない。尿が濃くなると、成分の密度が上がります。猫の尿はもともと濃いので、飲水量が減るとさらに濃くなります
  • 食事の内容。ミネラルのバランスが猫の必要量と合っていない場合
  • 尿の pH。猫の尿の理想的な pH は 6.3〜6.6 とされ、そこから外れると結晶ができやすくなります
  • 細菌。一部の細菌は尿の pH を変えます
  • 中毒。不凍液(エチレングリコール)や、シュウ酸を多く含む植物を大量に食べた場合

検査の都合で結晶が「できてしまう」こともあります。採った尿をすぐ調べられず冷蔵庫で保管すると、その間に成分が集まって結晶になることがあります。

結晶が見つかっても、体調が悪いとは限らない

ここがこの話のいちばん分かりにくいところです。

結晶は、健康な猫の尿からも見つかります。よく見つかる2種類については、「健康な猫の尿にも見られることがあり、問題を起こさない場合もある」とされています。

一方で、結晶が石になったり、粘液と固まって尿の通り道を塞いだりすることもあります。結晶があっても、何も問題がない場合と、そうでない場合があるわけです。

だから、結晶が出たかどうかだけでは、治療が必要かどうかは決まりません。 猫の状態を全体的に見て、獣医師が判断します。

病院に相談したい変化

結晶そのものは見えませんが、尿まわりの変化は見えます。 獣医師が挙げているものを整理します。

  • トイレ以外の場所で排尿する
  • 尿に血が混じる
  • 力んでいるのに出ない
  • 排尿の回数が増えた、または減った
  • トイレで鳴く
  • 陰部をしきりに舐める
  • 水を飲む量が急に増えた
力んでいるのに尿が出ていない場合は、様子を見ないでください。 とくにオス猫では、尿の通り道が塞がると短時間で危険な状態になります。一刻を争う状態だとされています。すぐに動物病院に連絡してください。

尿のにおいや量の変化そのものについては、猫のおしっこはなぜ臭いのかでも扱っています。

どうやって分かるのか

使うのは尿検査です。採った尿を遠心分離にかけ、沈んだものを顕微鏡で見ます。結晶のほかに、細胞や細菌なども一緒に見えます。

尿の採り方は状況によって変わります。吸収しない専用の猫砂を入れたトイレで採って持参する方法を獣医師から案内されることがあります。この場合、採る前に病院へ連絡しておくと、保管用の容器を用意してもらえることがあります。

腹部から針で直接採る方法や、カテーテルを使う方法もありますが、どれを選ぶかは獣医師が決めることです。

よく見つかる2種類

猫でよく見つかるのは次の2つです。ほかにも種類はありますが、いずれも顕微鏡で形を見て見分けるもので、飼い主が判別するものではありません。

できやすい環境 補足
ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム) アルカリ性寄り。中性でもできる 猫でも犬でも最もよく見つかる。石や栓になって詰まることがある
シュウ酸カルシウム 酸性寄り 高齢の猫で石になりやすい。なぜ石まで進むかは未解明の部分がある

品種によってできやすさに差があるとされ、ラグドール、ヒマラヤン、ペルシャ、ショートヘア系の品種などが挙げられています。該当する品種だから必ず起きる、という話ではありません。

治療は「何もしない」こともある

結晶が見つかったとき、いちばん多い対応は「何もしない」です。

偶然見つかっただけで、いま治療が要る状態ではない場合があるからです。ただしこれは、必要な検査をしたうえで「他に問題がない」と確認できた場合の話です。

そのほか、療法食への切り替えや、感染がある場合の抗生物質の使用、石ができている場合の処置や手術などが選択肢になります。どれを選ぶかは、診察と検査の結果しだいです。

できにくい環境をつくる

ここに挙げるのは、結晶ができないようにする方法ではありません。「泌尿器の健康を保つのに役立つ一般的な心がけ」として挙げられているものです。すでに結晶や石が見つかっている猫については、必ず獣医師の指示に従ってください。

水を飲みやすくする。 猫の尿はもともと濃いので、飲む量が増えれば薄まります。

  • 水飲み場を増やす。トイレやごはんから離れた場所にも置く
  • 器を変えてみる。ひげが当たらない広さの器を好む猫がいます
  • 流れる水を好む猫もいます
  • ウェットフードを併用する

総合栄養食を与える。 パッケージに「総合栄養食」と書かれているものは、それだけで必要な栄養が満たせる設計になっています。持病がある場合の食事は獣医師に相談してください。

遊ぶ時間もつくりましょう。活動的な猫のほうがトイレに行く回数が多くなるためです。

それと、定期的に健康診断を受けましょう。異常を早く見つけるには、具合が悪くなってからではなく、定期的に受診するのがよいとされています。

トイレを清潔に保つ

汚れたトイレは、猫が入るのをためらう理由になります。我慢する時間が長くなるのは、泌尿器にとって良いことではありません。

猫は汚れたトイレを避けます。においの原因と対策は猫のトイレが臭う原因と対策、砂の選び方は結局どの猫砂がいいのかにまとめました。

Litter-Robot 4 は猫が出たあとに自動で片づけるので、次に入るときには、いつも新しい砂が広がっています。 アプリには使用回数が週単位で記録されます。

これは病気を見つけるための機器ではありません。 記録が残るので、あとから見返したときに「そういえば先週から回数が増えている」と気づくきっかけになる、という範囲のものです。判断するのは飼い主と獣医師です。

まとめ

  • 結晶は顕微鏡でしか見えない。目で見て分かるものではない
  • 結晶がある=病気、ではない。健康な猫の尿からも見つかる
  • 見えるのは尿まわりの変化のほう。血が混じる、力んでも出ない、回数が変わる
  • 力んでいるのに出ないときは、すぐに動物病院へ
  • いちばん多い対応は「何もしない」。ただし検査をしたうえでの判断
  • 水を飲みやすくする、トイレを清潔に保つは、日常でできること
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この記事は Whisker(Automated Pet Care Products, Inc.)の記事(著者: Laria Herod, DVM)をもとに、日本向けに再構成したものです(原文を読む)。

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