香り付きと無香、猫はどちらを選ぶのか。研究が示していること

猫砂の粒のクローズアップ

読了 約5分

売り場には「ラベンダーの香り」「フローラル」「無香」が並んでいます。においが気になるなら香り付き、と考えるのは自然です。

ただ、猫砂を使うのは猫です。 そして猫の嗅覚は人よりずっと鋭い。つまり「人が快適に感じるもの」と「猫が受け入れるもの」は、同じとは限りません。

猫の好みを調べた研究がいくつかあるので、分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて見ていきます。

香り付きと無香は何が違うのか

無香は、香料を足していない猫砂です。「無臭」と書かれることもありますが、素材そのもののにおいは残ります。 鉱物系なら土のにおい、木なら木のにおいがします。重曹や活性炭を混ぜた製品なら、そのにおいがします。

香り付きは、においを覆うか吸着する添加物が入った猫砂です。香料そのもののほか、重曹や活性炭を併せて入れているものもあります。香りの種類は幅広く、ラベンダー、パイン、石けん系など様々です。

つまり「無香=においがない」ではありません。香料を足していないだけです。

研究では、猫はどちらを選んだか

結果を先に書くと、無香がわずかに好まれた、という程度でした。

猫のトイレ行動を研究している Jacqueline Neilson 獣医師が、2011年の学会で発表した調査があります。去勢・避妊済みの猫35匹を対象に4日間、香り付きと無香を並べて使わせ、尿と便の量を測ったものです。

  • 香り付きが使われたのは 134回
  • 無香が使われたのは 143回
  • 個体別に見ると、無香を好んだ猫が16匹、香り付きを好んだ猫が12匹、どちらでもない猫が7匹

Neilson 獣医師は、統計的に有意な差はないと結論づけています。

「無香のほうが良い」と言い切れる結果ではありません。差はありましたが小さく、個体差のほうが大きかったと見るのが自然です。いま使っている砂を猫が問題なく使えているなら、変える理由はありません。

香りと粗相の関連を調べた研究

ただ、粗相との関係を調べた研究では、少し気になる結果が出ています。

Debra Horwitz 獣医師が1997年に Applied Animal Behaviour Science 誌で報告した調査では、トイレ以外での排尿・排便が続いている猫100匹と、そうした問題のない猫44匹を比べています。

粗相のある猫100匹のうち、68%の家庭で香り付きの猫砂が使われていました。

ただしこれは相関であって、原因と決まったわけではありません。論文自身がその点を留保しています。トイレの汚れ具合、置き場所、他の猫との関係、体調など、粗相に関わる要因は他にもたくさんあります。

それでも、香り付きを使っていて粗相が続いているなら、一度変えてみる価値はありそうです。

消臭の添加剤は、炭のほうが好まれた

同じ Neilson 獣医師が2010年に Journal of Veterinary Behavior 誌で報告した研究では、消臭の添加剤として活性炭と重曹のどちらが好まれるかを調べています。

結果は活性炭のほうが好まれました。

排泄物の量で見た比較。活性炭入りが 4,679g、重曹入りが 3,720g
排泄物の量で見た比較。活性炭入りが 4,679g、重曹入りが 3,720g

これは「香り付きか無香か」という分け方が単純すぎることを示しています。においを覆うのか、吸着するのかで、猫の反応が違うわけです。

重曹の使い方については、猫のトイレの消臭、何が効いて何が効かないかで扱いました。新しい砂を入れるときに全体へ薄く混ぜ込むのが基本で、上から振りかける使い方はしません。

猫が避ける香り、好む香り

Neilson 獣医師は2007年と2008年にも、猫はどんなにおいを好むのかを調べています。

  • 好まれた傾向があったもの … 杉(シダー)、魚、塩素系のにおい、そして無香
  • 避けられた傾向があったもの … 柑橘系、フローラル系
この研究はトイレの中で試したものではありません。香り全般の好みを調べたもので、猫砂の選好そのものを示したわけではない点に注意してください。それでも、香り付きを選ぶなら柑橘系とフローラル系は避けておくほうが無難とは言えます。

売り場でよく見るのは、まさにその柑橘系とフローラル系です。人が「清潔そう」と感じる香りと、猫が受け入れる香りは同じではありません。

香りより先に見直すこと

ここまでを踏まえると、優先順位はこうなります。

  1. こまめに取り除く。香りの有無より、これがはるかに効きます
  2. 固まる力を見る。崩れる砂だと取り除ききれず、におい自体が増えます
  3. トイレの数と大きさ。頭数より1つ多いのが目安とされます
  4. そのうえで、香りをどうするか

猫砂そのものの選び方は結局どの猫砂がいいのか、量は猫砂はどれくらい入れればいいかにまとめました。

香りを気にするのは、いちばん最後で構いません。上の3つができていないまま香りを変えても、体感はほとんど変わりません。

変えるかどうかの判断

いまの状況 どうするか
香り付きで、猫も問題なく使えている 変えない。 うまくいっている状態を壊すほうが損
香り付きを使っていて、粗相があったりトイレに入りたがらなかったりする 無香を試す価値がある。 ただし体調の確認が先
無香で、においが気になる 香りを足すより、取り除く回数と固まる力を見直す
無香で、猫も問題ない そのまま
急にトイレを避けるようになった場合、砂のせいとは限りません。 泌尿器の不調で痛みがあると、トイレそのものを嫌がるようになります。砂を変える前に、動物病院にご相談ください。

変えると決めたら、一度に全部入れ替えないでください。1〜2週間かけて割合を増やします。手順は猫砂を切り替える時期とやり方にまとめました。

まとめ

  • 無香がわずかに好まれたという結果はあるが、統計的に有意な差ではない
  • 香り付きと粗相の関連を示す調査はあるが、相関であって原因ではない
  • 消臭の添加剤は活性炭のほうが好まれた。覆うより吸着するほうが受け入れられやすい
  • 香りを選ぶなら柑橘系とフローラル系は避けるほうが無難
  • いま問題なく使えているなら、変えなくていい
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この記事は Whisker(Automated Pet Care Products, Inc.)の記事(著者: Clemence Servonnat)をもとに、日本向けに再構成したものです(原文を読む)。

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